夏の空を見上げる

カンカンの灼熱の太陽とまではいかないもののお日様ギラギラのテラスに一人突っ立て腰に手を当てて頭を地面と水平になるくらい思いっきり曲げて空を睨む 右手に携帯を構えて屋根と胡桃の木の間の青空をパチリと撮る 70歳の筋肉の落ちた老体にはアクロバットに近い状態を保ちながらそのまま夏空を見上げている 考えてみるにこのように空の青さをまじまじとみるのはいつの日以来か 山に登っていた頃ちょっと一休みの峠の小道端、畑にトマトの苗を植え終えたときに汗をふきふき見上げた時、旅先の展望台からの景色を楽しみながら大きくため息をついた時等何度もこの様な青空を見ていたはずなのであるが最近は記憶力が落ちたのかそれとも痴呆の始まりか思い出せないでいる 特別ではない当たり前の日常を楽しんだり愛でたりすることを忘れてしまったかのように・・

しばらく見上げていたら首が凝ってきてそのまま後ろ向きに倒れかねない様なので近くにある椅子に腰掛けてゆっくりと辺りを見回してみる 一昨年・昨年の9月11日とは同じ場所ではあるが同じではないはずの風景がそこにはある 木々の成長や建物の汚れ具合、咲いている花の様子やテーブルの位置など同じと思っているが同じではないことに気づく そして68、69、70歳と同じ私であるが違う私がここにいる 近場であればまだまだ出かけることも出来るので時には一人旅を楽しもうと思う髭マスターである 皆さんもちょっと年老いた森の宿野乃花へお出かけになりませんか とっても年取った髭のマスターがお出迎えいたしますよ

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